友人も私の言おうとすることがわかり、結局その物件は購入しませんでした。
周囲を見渡すと、結構、擁壁のある敷地が多くあります。
このような敷地を購入しようとする場合、まず擁壁がこのまま使用可能なものなのかどうか、一度専門家にチェックしてもらってから購入を検討する必要があるのではないでしょうか。
景気の乱高下を直に受けのるがマンション。
妥当な価格を知るための価値基準を持つこと、これが後悔しない秘訣です。
平成2年がバブル崩壊の年だそうですが、このバブルの崩壊は、我々不動産業界にとって驚天動地、何が何やら、わけのわからない世界へ倒れ込む序章であったように思われます。
バブルの崩壊が起こった直後、不動産業界は深夜のような静けさが続き、状況が明らかになるにつれて、一挙に混乱が始まりました。
この混乱は、基本的に価値観の喪失からくるもので、今まで堅牢な大地に足を踏ん張り立っていたのが、突如足元の大地がなくなり空中に放り出されてしまったような不安や恐怖が主な原因でした。
この時、ほとんどの不動産業者は、倒産という最も恐ろしいイメージを頭のなかに描いていたのではないでしょうか。
新たに、新築マンションが雨後の竹の子のように市場に出始めたのは平成6年ですから、3年間位はどこの不動産業者も喪失感に脱落し、なりをひそめて様子を伺うといった状況でした。
そうこうしている間に、バブル崩壊後の新企画で、新規分譲マンションがぽつぽつ大手デベロッパーから販売され始めました。
分譲価格は、バブル期に比べて60〜80%位の価格でした。
大手デベロッパーの企画したマンションであるという信用力もあり、バブル期にマンションを買えなかったユーザーも価格下落の不安のなか、恐る恐る購入を再開しました。
ユーザーが値段の下がった新規分譲マンションを買い始めると、もともとマンションデベロッパーであった業者はすばやく在庫マンションの価格を引き下げ、販売を始めました。
この新価格のマンションは砂地に水がしみ込むように売れました。
その様相を、地中に潜っていた数多くの不動産屋、デベロッパー予備軍が見ていました。
新規企画の分譲マンションが手堅く売れ続けているのを確かめながら、これなら自社所有の不動産を種に分譲マンションとして企画販売できると予感すると、不良在庫として残っていた自社保有物件に新たに分譲マンション企画を始め、販売に出したのでした。
そのような企画が、平成6〜7年頃集中して市場に出てきました。
このようにして市場に輩出されてきた分譲マンションですが、土地の上にマンションを建てて売り払えばそれでおしまいという商品であれば、そんなに問題はないのです。
しかし、分譲マンションというものは、所有権が区分所有法という法律に基づき、複数の人々に共有されるので、所有権移転後の取り決め(規約書等)をしっかりしておきませんと、後々大変なトラブルになります。
また、分譲マンションは、旧市内の建売住宅と違って、住宅金融公庫の融資を付けることが出来るのがメリットとされており、この融資の手続きについてもきちっとした対応をしておかないと、ユーザーに大変な迷惑をかけることになるのです。
一説に、マンションを企画し建築するのは、上質な建築事務所とゼネコンさえあれば大丈夫だと言われています。
また、マンションの管理は、一括して管理会社に頼めばそれで十分機能は果たせると思いがちです。
しかし、落し穴は別の所にあるのです。
よく同業者からも、分譲マンションは「施工業者と管理会社がしっかりしていればユーザーは安心する」と言われます。
私も分譲マンション事業に新規挑戦して思うのですが、この事業は想像していたより、デベロッパーの信用格差による販売の優劣はないものだと感じます。
ここで問題とするのは、平成6〜7年頃、雨後の竹の子のように出てきた俄マンション開発業者(デベロッパー)です。
分譲マンション事業というのは収益事業ですから、利益を目指さない業者はありません。
しかし、どんな事業も同じだと思うのですが、良質な物件の販売を継続させることにより信用が出てきたり、利益とは別に、快適で社会的ニーズに合ったマンションを作り出すこと自体に喜びを感じることがあります。
そういう喜びを感じることが出来るようになって、ようやく真のマンション業者と逆に、立地と価格帯を1つ誤ると、どうしても売れないのが分譲マンションです。
私は長い不動産業歴のなかでそういう、てこでも売れない分譲マンションをいくつか見てきました。
そのときに、体力のある事業主とない事業主、思想性のある事業主とない事業主の差がくっきりと浮かび上がるのを目のあたりにしました。
今回のバブル崩壊後のような、誰もが想像しえなかった急激な地価下落のなかにあっては、大手デベロッパーといえど慌てふためき、身もふたもないような動きをしましたが、あの時期は特別だと考えたほうが良いのでしょう。
分譲マンションは1に立地で2に価格、3、4がなくて5に企画力と言われるぐらい、立地が良ければ事業主が誰であろうと建設会社がどこであろうと、よほど下手な販売方法を取らないかぎり勝手に事業者は、利益のみで事業計画を立てることが多いので要注意です。
利益のみというか、今回、これほど多く俄マンション業者が出て来たのは、不良在庫を整理したい不動産業者が、換金の手法として分譲マンション事業を選んだということなのでしょう。
彼らは、マンション事業をやるための何の方針も持たず、準備もなしで、突然、利益のためだけに事業を始めます。
貸し衣装を羽織って形だけはマンション業者の体をしていても、細部を点検していけば大変問題のあるマンション業者(本当はマンション業者とは呼べない)がたくさんあります。
その辺りの業者の見きわめをしておかないと、夢と希望を持って購入したマンションで、後々いろいろな問題に悩まされることになります。
俄業者が起こしたトラブルの極端な事例をあげておきます。
京都御所の近くで不良在庫を持っていた不動産業者が、担保権者の銀行と掛け合い、分譲マンション事業を始めました。
その不動産業者は分譲マンション事業が初めてだということで、その業者の知人が勤めていた他府県のゼネコンとともに、マンション企画を進めました。
販売は平成6年の夏頃で、マンションが最も売れていた時期でした。
時節もちょうどよかったのですが、そこは素人の悲しさで、販売体制が取れないままもたもたしているうちに、販売に最良の時期を逃したのでした。
利益以外のことはまったく目に入らない。
マンションを企画しても、多くの人達が入居し生活を営むというところまで配慮がいかないのです。
ですから、マンションの購入者からどのような反響があろうと「蛙の面に小便」で、マンション業者なら痛みに感じなければならないクレームにも無反応である場合その後、購入者に対し、売主はなしのつぶてでした。
さらに販売当時、管理費を低く抑えるため、経験の少ない、管理費用をダンピングしたビル管理業者を選定していたのですが、この管理業者の管理が悪く、管理組合の開催、理事会役員の選任等、何から何まで多くの問題を残しました。
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